事例に学ぶ事業承継
わたしたちがこれまでにお手伝いをさせていただいた事例のご紹介をします。
業種 | 製造業 | 業務内容 | 事務機器製造販売 |
創業 | 昭和13年 | 従業員 | 172名(全員正社員) |
代表者年齢 | 50代 | 地域 | 名古屋 |
資本金 | 8000万円 | 売上高 | 約30億円 |
業種 | 製造業 |
業務内容 | 事務機器製造販売 |
創業 | 昭和13年 |
従業員 | 172名(全員正社員) |
代表者年齢 | 50代 |
地域 | 名古屋 |
資本金 | 8000万円 |
売上高 | 約30億円 |
1.事業継承に至った経緯
現社長は当社に従業員として入社(創業一族とは血縁関係なし)、約10年の取締役経験を経て、創業一族である現会長から代表取締役の地位を承継しました。
事業は大口取引先との安定した取引の他、新規先の営業にも現社長を中心に積極的に取り組んでおり堅調に推移しています。過年度からの利益の積み重ねで多額の純資産を計上しており、当社の株価は総額数億円という高額評価でした。
現在、当社の株式はすべて創業一族で保有しています。創業一族からは、現会長が月1回の取締役会に出席するのみで経営に対する口出しはほとんどされないため、現社長が株式を保有していないことで特段支障は出ていません。創業一族はそれぞれ別の事業を営んでいるため当社の経営に関与したい意思はなく、保有している株式についても現社長が相当資金を用意できるのであれば譲渡しても良いと考えています。
この先創業一族内で相続等発生して株主構成が変わる前には現社長に議決権を集中したいと考えている一方、株式を創業一族から買い取るには数億円の資金が必要と見込まれており、このような状況でどのような対策をとれば良いか、現社長から当ネットワークにご相談いただきました。
2.事業承継における現状
現社長はすでに当社の経営を実質的に承継しています。組織体制はしっかりしており、経営管理も適切に実行されていました。
今後の課題としては現社長の後を担う経営幹部の育成等が挙げられましたが、やはり一番の課題は、創業一族から現社長への株式の承継でした。
向こう5年の事業計画を策定し、どのタイミングで、どのように株式を異動させるのがよいか、専門家を派遣した上で議論を進めました。
3.事業承継に係る課題とその対応策
株式の承継については、検討しうる複数のスキームを比較・検討した結果、2年後の実行を目指してSPC(特別目的会社)を活用したスキームを提案いたしました。
①現社長がSPCを設立
②金融機関から株式買取資金の融資を受け、その資金でSPCは創業一族から全株式を取得する→当社はSPC(現社長が株式の100%保有)の100%子会社となり、現社長への当社議決権集中が実現
③なお、SPCの借入金返済原資は当社からの配当金を充てる
4.サブマネージャーの所感
創業一族と血縁関係のない現社長がどのような方法で当社の議決権を掌握するか、相談の中で複数のスキームが検討されましたが、最終的にはSPC活用スキームに落ち着きました。
このスキームで1番のポイントは「金融機関からの融資」の実現可能性ですが、当ネットワークからの専門家派遣による相談の場に当社の取引金融機関も同席いただくことができ、スキーム実行に向けて、より詳細な議論が可能となりました。
株式の承継という一つの大きな課題をクリアし、今後、現社長を中心とした体制でさらに当社が発展していくことを期待しております。